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移動
投稿日 | : 2018/09/03(Mon) 00:06 |
投稿者 | : 移動 ID[0393] |
ハンターアーカイヴはエデンシェイド回想録に移動しました。
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Re: 【特番】ハンターアーカイヴ〜銀色の狩人の手記〜 3章
投稿日 | : 2018/11/06(Tue) 11:23 |
投稿者 | : HUNT ID[0393] |
女神の様な女性は見る見るうちに崩れ去り、白き一角獣も、その光を剥ぎ取られ、黒い姿を露出させられる。
「台本通り、とでもいった所だろうか?その様に型にはまった化かし方だから見抜かれるのさ。」
黒き一角獣の眼が驚愕で見開かれる、そして、次の瞬間その眉間には機械弓から放たれた鏃が深々と突き刺さっていた。
黒き一角獣が黒い霧をまき散らしながら爆散する。そして、薄く傷ついた禍々しい色合いの宝玉が転がり落ちる。
・・・気が付けば、僕は霧の峡谷の地面に体を横たえていた、体に積もった枯葉を払い落とし、周囲を様子を伺った。
一体どれくらいの時間だったのだろうか、それとも、性質の悪い幻覚でも見ていたのだろうか、自分の意識が何処に行っていたのか、何を見ていたのか反芻する。
しかし、浮かび上がるのは曖昧な物で、確固たる形状も無く、今なお記憶から零れ落ち失われつつあった。
何を見ていたのかはもう判らない、取り残された高揚感と、いつの間にかその手に握られていた夢魔の心核だけが、今その身に起こった現象の残滓を象徴していた。
霧の峡谷で仮初の死を経験した僕は、何処か晴れ晴れした気持ちで、ムタンの街へ戻る事にした。
眠りに落ちる様に違和感の気配すら感じさせずに、気が付けば、それを受け入れない術は無くなっていた、たとえ話ではあるが、良くある話であるのだろう。
Re: 【特番】ハンターアーカイヴ〜銀色の狩人の手記〜 3章
投稿日 | : 2018/11/06(Tue) 11:21 |
投稿者 | : HUNT ID[0393] |
気が付けば、僕は霧の峡谷の地面に体を横たえていた。
不意に体を起こすと、死の峡谷の様に木々が枯れ果てており、森に住む生物たちが白骨死体として横たわっている。
よろよろと、痛む体を引きずって、死の臭いに満ちた霧の峡谷を歩き続けた。
その道中、見知った者の服を着た白骨死体、腐り果てて土色になったギルド仲間の冒険者、セナルスを去った旧友の惨殺死体などが、転がっていた。
あり得ない、何かの間違いだ。
深い霧に包まれて今自分がどこを歩いているのかすらわからない、しかし、急に視界が晴れわたり、美しい花畑が現れた。
そこは、まるで楽園そのもので、美しい鳥や白き一角獣、薄布を纏った子供たちが、花畑で戯れていた。
僕に誰かが近づいてくる、白き一角獣を連れた女神の様な美しい女性だ。
「長旅で疲れたでしょう、さぁこちらへ・・・」「ずっとここに居てもいいのよ?」
彼女は慈愛に満ちた微笑みを僕に向けて、手を差し伸べてくる。
とても美しい世界だ、楽園と言っても良い、その様な場所に何時までも居て良いと言うのだろうか?僕は、女神の様な女性に手を差し出した。
「爆ぜろ、そして荒れ狂え」
手に握られていた緑色のオーブは術者の魔力と反応し、緑色の閃光を発しながら爆ぜ、全てを蹂躙する暴力的な気流を発生させた。
Re: 【特番】ハンターアーカイヴ〜銀色の狩人の手記〜 3章
投稿日 | : 2018/09/03(Mon) 21:10 |
投稿者 | : HUNT ID[0393] |
巨大な巣の中にはヒナが数匹、ピヨピヨと鳴きながら親鳥の帰りをまっており、巨大な卵の殻が数個転がっているところをみると、最近孵化したばかりの個体とみて良いだろう、しかし、卵の殻の数に比べてヒナの数が少ないように見える、巣から落ちてしまったのだろうか?
暫くすると、大気を震わせるような羽音を響かせ、親鳥がヒナを咥えて巣に戻ってきた。
僕はその様子を茂みの奥から観察していたが、戻ってきたヒナは巣に残っていたヒナに比べて肉つきがよく、腹が満たされている様だった。
親から離れたヒナは大抵、外敵に襲われて助からないのだが、このヒナは自分で食料を集め、狩りを行い、腹を満たすことができたのだろう、グリフォンともなると、普通の鳥と比べられないのだろう、まったく末恐ろしいものだ。
よく見ると、親鳥は先ほど交戦した若いグリフォンの様だ、凶暴な生物だが、巣に残っていたヒナに山羊の肉を与えている様子を見ていると、彼らを狩る気にはなれなかった。
確かに、人間に害を与える凶暴な魔物ではあるが、これだけ巣の位置が山頂付近にあるのならば、滅多なことではムタンまで下りてくることはないだろう、唯でさえ個体数が少ない生物だ、ここでヒナごと倒してしまっては生態系にどの様な悪影響があるか判ったものではない。
Re: 【特番】ハンターアーカイヴ〜銀色の狩人の手記〜 3章
投稿日 | : 2018/09/03(Mon) 20:35 |
投稿者 | : HUNT ID[0393] |
ログ107
リレー日記5 動物語
何やら、最近動物の言葉を喋る人が酒場にうろついていると言う噂を聞いた。
ピョンだのチャウだのガウだの奇妙な語尾をつけて話し、あちこちの町を駆け回っているとの事だ。
その噂は、魔物語を習得した者だとか、今まで倒した動物の怨念をぶつけられたとか、人間に化けた魔物の偵察部隊だとか、何が真実なのか分からないほど派生している。
もし仮に魔物の言葉が理解できるようになったとしたら、わざわざコボルドやオーク共と、戦わず、交渉で交戦を避けることが出来るかもしれない。
真相を確かめるため、町を歩き回り情報収集を始めた。
セトラで出会った不思議な雰囲気のローブを着た箱売りの男からは、動物に話しかけ続ければ動物語を喋れるようになるよ、と、教えてくれた。
これは、誰でも出来そうな方法なので大草原のウサギで、さっそく試してみた。
Re: 【特番】ハンターアーカイヴ〜銀色の狩人の手記〜 3章
投稿日 | : 2018/09/03(Mon) 00:24 |
投稿者 | : HUNT ID[0393] |
驚くことに、その胃袋には、餌食となった動物の死骸の他に水晶の原石が丸ごと収まっており、目につくもの全てを食らい尽くす、貪欲な食性が伺える。
想定していたよりも、多くの収穫が得られたので上機嫌でセトラの町に戻ると、青空広場でイベントが開催されているらしく、町が活気に満ちていた。
多くの冒険者が新米、熟練者問わず集まり酒場で騒いでいた、これからもきっと、良い事があるだろう。
荷物整理のために、暫く酒場で干し肉とエールを楽しみつつ、穏やかにセトラの町を酒場の窓から眺め続けた・・・。
Re: 【特番】ハンターアーカイヴ〜銀色の狩人の手記〜 3章
投稿日 | : 2018/09/03(Mon) 00:20 |
投稿者 | : HUNT ID[0393] |
片腕は激痛で暫く使い物にならないが、歯を食いしばり、わき腹にボウガンを挟み片手でトリガーに指をかける。
照準を合わせるため、スコープを覗くと、大鰐の顎に挟まった縁が金属で補強された木盾がメキメキと音を立て、砕け散るのが見えた。
執拗なまでに盾を砕き咀嚼する大鰐に恐ろしさとある種の滑稽さを感じつつも、その眼球に照準を向け、事前にギリギリまで引き絞られていた矢じりを開放し、快音を発しつつ大鰐に直進させた。
着弾と共に悲鳴とも怒号ともつかない呻き声を上げ、さらに、泥水をまき散らしながら暴れる大鰐の口の中に置き土産の如く放り投げられた火の玉のオーブが炸裂する。
口や鼻から黒煙を上げつつ、力なく倒れる森の主に、近づき死亡を確認すると、ナイフを突き立て解体を始める。
予想通り、可食部分は内部からの魔法炸裂の影響で殆ど焼け焦げてしまっていたが、その表皮は素材としての形状を保っていたので、慎重に剥ぎ取り、バックパックにしまった。
Re: 【特番】ハンターアーカイヴ〜銀色の狩人の手記〜 3章
投稿日 | : 2018/09/03(Mon) 00:18 |
投稿者 | : HUNT ID[0393] |
野獣や魔物を追い払いつつ暫く探索を続けていると、繁みを払った先に黒い塊が飛び込んできた。
それは、鈍く黒光りした皮膚を持ち、短剣と見まごうばかりの太くて鋭い牙をもった大型の爬虫類であった。
すかさず殺気を飛ばして、威嚇するが、この森の食物連鎖の頂点と言うプライドがあるのだろう、それに呼応するかのようにその大顎を開き唸り声を上げる。
退かない事を確認すると、その口内にボウガンの照準を合わせトリガーに指をかけるが、その隙に一気に間合いを詰められ、眼前にずらりと牙の並んだ大顎が迫ってくる。
多少距離が離れていたと、油断しているのが不味かった、慌てて盾を突き出し、攻撃を防ごうとするが、盾にかみつくと同時にその重厚感あふれる巨体を回転させ引き千切ろうとしてきた。
ワニが得意とする死の螺旋(デスロール)が僕の腕を捩じり、そのまま体も合わせて森に積もった腐葉土に叩き付けられ、泥水をまき散らしながら捩じられる。
しかし、途中で盾と腕を固定するベルトに大鰐の牙に触れ、切断されると同時に腕が解放され、その勢いのまま何度もバウンドしながら転がり繁みのクッションにぶつかるまで止まらなかった。
Re: 【特番】ハンターアーカイヴ〜銀色の狩人の手記〜 3章
投稿日 | : 2018/09/03(Mon) 00:16 |
投稿者 | : HUNT ID[0393] |
ログ106
リレー日記1 死の螺旋
市場に並べた素材を一通り売り払うと、少し遅めに町の外へ出て探索を始めた。
セトラの近くに広がる白い木々が立ち並ぶ森へと足を踏み入れると、森で拾える胡桃や山葡萄などをバックパックに詰め込み、収集を開始した。
時々こちらを様子見するように、遠目からコボルドが姿を現すが、直接的な接触を避けている様だった。
無用な争いは避けるべきだ、お互いそこら辺を理解しているのだろう、だが、こちらに危害を加えてくるようならば容赦はしない。
新人時代なら彼らと交戦をすることも多かったが、今では言葉すら通じないオオカミやワニなどにすら軽く殺気を飛ばすと追い払うことが出来るのだ。
何度か、ワニ皮の納品依頼が舞い込む事があったので、先制攻撃の魔法を使って逃げ出す前に仕留めることもあったが、基本的に逃げる者には追撃を加えないようにしている。
Re: 【特番】ハンターアーカイヴ〜銀色の狩人の手記〜 3章
投稿日 | : 2018/09/03(Mon) 00:13 |
投稿者 | : HUNT ID[0393] |
エアフォーカスの魔法を食らって、傷を負っていたので、薬袋から青紫の薬を取り出し、幹部に塗布すると、新たにディスペルの魔法を用意して探索を再開した。
暫く探索を続けていたが、先客がいたのだろうか・・・多数の吸血蝙蝠と、スプリガンの死骸が転がっており、ところどころトラップが破壊されており、墓守の長と思われる、蛇の髪をもつ女性型の魔物が息絶えていた。
魔物の気配の少ない地下墓地を歩き続け、回収できるだけの宝箱を回収すると、空間湾曲の魔法を唱え、ムタンへと転移した。
結局、噂の隠し扉は発見できなかったが、収穫はあったので、今回の探索は成功とみてよいだろう。
未知の領域が存在するならば、冒険は続く、そして、謎が解明されれば、新たな謎がそこに現れる。
だからこそ、冒険者稼業は止められない。