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【特番】レッドとクマー!!〜そこからこぼれたStory〜
投稿日 : 2007/03/11 11:34
投稿者 レッドホーク ID[0108]
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 |  レッドと  |クマー!!|
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  ○_○ ||      || ○_○
  ( ・(ェ)・)||      ||(・(ェ)・ )
  /   つΦ.     Φ⊂   ヽ

今回、拙著「エデンシェイド私記」・SKYさんの名著「冒険者講座」
との異色コラボレーションを実現いたしました。
ログオフ時も楽しめる掲示板を皆さんも積極的に活用してみましょう♪
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Re: 【特番】レッドとクマー!!〜そこからこぼれたStory〜
投稿日 : 2007/12/25 23:18
投稿者 レッドホーク ID[0108]
内なる意識に進化を求め、その拡張を究めんとする生物が想念の構築を展開していた。
意識の内で足元の朽ち果てようとする生き物の印象が無数に増えて組み合わさり全体で一つの図形を成す。
視覚は聴覚となり図形は旋律として眼に飛び込み、聴覚は視覚となって音は色彩として耳から流れ込む。
印象の一つの片隅に黒い染みが現れ、見る間にその染みが他の印象にも発生し全体は崩壊した。
すぐさま似たような印象が生まれたがその全体も崩壊した。この繰り返しが何度となく目まぐるしい速さで行なわれている。

闇があった。眼をそらすことができない。圧倒的な存在感が自分に流れ込んで押しつぶし引き裂こうとする。
怖い。こんなところにいたくない。逃げ出したい。どうすればいいのだろう。まずは動かなくては。
あの日自分と向き合うことを止め、自分のいるべき場所から逃げだした。生きるためにはそうするしかなかった。
それが正しいと信じた。だがそれは詭弁だ。その場をやり過ごし日々を生き延びるのを本当の己の姿だと思い込もうとした。
あの男と再び出会わなければ、永遠にさまよい続ける彼女の姿を知っている今でも、一生旅を続けていただろう。
今どうしてこんなことを思うのだろう。早くここから出たい。けれど体の感覚がない。何でもいい。とにかく動け。動け。動け。

短命なるヒト。言語による思考は緩慢で常に矛盾を孕み、俯瞰して思考することは疎外感を生み出し
そこから抜け出ようとする感情の発露は誤謬を増長させるだろう。
肝心な事は己を観察しようと試みる自我を観ている存在がいる。ただそれだけなのだ。
闇を恐れよ。それが生きとし生けるものに与えられた、たった一つの理である。
恐怖から逃れるために生命は生きたいと願い、力を取り込み続け、それを快いと感じるように意図されている。
我々は永遠にその意図の歯車で有り続けるか自らの動きを止めこの車輪から抜け出すかだ。夜が明ければ新しい一日が始まる。
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Re: 【特番】レッドとクマー!!〜そこからこぼれたStory〜
投稿日 : 2007/12/25 23:18
投稿者 レッドホーク ID[0108]
【エデンシェイド私記外伝4】
霧は晴れ峡谷がその全貌をあらわし、竜の棲む谷に足を踏み入れたと思った頃
辺りに漂う異様な空気と胃の奥からこみ上げる重圧で吐き気が襲ってきた。
伝説と呼ばれる存在に会うことが出来れば何かが変わるかもしれない。それは甘い考えだった。
大空を翔ける体躯が目の前まで近づくと、有無を言わさずにその鉤爪は侵入者を弾き飛ばす。
自分の体は何度となく地面に叩きつけられ、次第に高ぶる感情のままにわめいてもそれに応じるものはいない。
彼らと渡り合うだけの力がなければならないのか。力だけしか現実を変えうることができないのか。

食糧とオーブ、体力と気力。生きることを肯定するあらゆる力は失われた。
上空には竜の眷属が何匹も旋回していた。歩くごとに脛が鈍器で殴られたように痛む。
力を掴むために伸ばした腕とそれらを離さぬように握り締めた手にも今は感覚がない。
眼を閉じてうなだれ、深く息を吐いた。何故こんな事をしているのかと疑問が浮かぶ。
背後にとてつもなく大きな存在をいくつも感じた。振り向こうにも腕を伸ばそうにも体が重たくて動かない。
どうにでもなれ。ふと自分を支えていた気持ちが折れその場に力尽きて倒れた。
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Re: 【特番】レッドとクマー!!〜そこからこぼれたStory〜
投稿日 : 2007/08/02 21:32
投稿者 レッドホーク ID[0108]
やがて雨は霧に変わった。どうやら不毛な谷を抜けたようだ。
見慣れた獣たちが姿を見せ始めた。樹木も徐々にその勢力を広げ、かすかに水の音も聞こえてくる。
谷底に川が流れているのかもしれないが、折から立ち込める霧は目をくらませて視界を奪う。
竜の地まではあと一息というところか。食糧にも余裕がある。このまま一気に南を目指そうと歩みを早めた。
だがノルツのほとりを暴れる霧の魔物がここでは群れをなして襲い掛かり、探索は慎重にならざるをえなかった。

逸る気持ちを抑えて霧の中を進む。ふと均等なリズムの蹄音が聞こえてきた。
音のする方向に耳を澄ますが霧のせいでよく見えない。しかしその音は段々と近づいていた。
突然目の前に馬よりも数倍あるその姿が浮かび上がり、こちらの存在を認めることなく再び霧の中に消えた。
金色の長いたてがみが揺れ、螺旋を描くような角が両眼の上から一本だけ突き出していた。
垣間見た瞳はうるんで宝石のように輝き、乳白色の四肢は大理石を思わせた。この土地はどこに通じているのだ。

今度は前方から薄暗い紫の靄がゆっくりとやってくる。避けようにもその暗がりは、まとわりついて離れない。
すると中から大柄な馬の頭部がこちらを覗き込んだ。うめくような低い鳴き声が地面を震わす。
白の次は黒というわけか。その首筋は闇を溶かしたように黒く、眼は蛋白石をそっくりはめ込んだようで瞳孔がない。
今や足元まで延びた暗い靄が固まりとなって軽装だった脇腹を打ち抜いた。思わず息が詰まり屈みこむ。
間髪いれずその固まりが顎をかち上げる。視界はぼやけ空が廻っている。その端に大きな鳥影が見えた気がした。
意識を取り戻した頃には日も暮れていた。まだ先は長いのだろうか。夜が明ければ新しい一日が始まる。
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Re: 【特番】レッドとクマー!!〜そこからこぼれたStory〜
投稿日 : 2007/08/02 21:31
投稿者 レッドホーク ID[0108]
【エデンシェイド私記外伝3】
雨は降り続く。棍棒を振り回す大柄な魔物を仕留めてもまだ荷物袋の食糧は充分だった。
際限なく現れる不死の魔物たちを動かすのは間違いなく魔力、つまり外界の力だろう。
オーブを腰袋から取り出して握り締めると掌を返した。途端にオーブは消え青い光が腕に宿る。
数体の魔物を土に還して辺りが静かになると、次第に硫黄の臭いが漂い始めた。視線を向ける。
小高い岩の上に巨大な狼らしき赤褐色の獣が大口を開けて牙を剥き緑の舌を出して見下ろしていた。
眼を逸らさずに外套の内側から新しいオーブを手繰り寄せた。球体の握られた拳から黄色い光が体を包む。

セナルスのオーブは便利な代物だ。外界の力をいとも簡単に魔法として引き出し物質化する。
複雑な儀式も長い詠唱も深遠なイメージも必要としない。だがこの技術力を恐ろしくも思う。
これらの力は常に無限ではない。長い年月を経てあらゆる場所からさまざまな媒介を通して蓄積されているものだ。
無尽蔵なエダナイトとタリスマン、日毎に勢いを増す魔物たち、城の玉座に君臨する強大な王。
セナルスの取り込んでいる力は大きすぎる。どこかで反動があるはずだ。きっと町をひとつ飲み込むほどの・・・
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Re: 【特番】レッドとクマー!!〜そこからこぼれたStory〜
投稿日 : 2007/08/02 21:28
投稿者 レッドホーク ID[0108]
【エデンシェイド私記外伝2】
他人を通してみる異国の世界では意外に気楽な日々を過ごしている。
何よりも彼の性格が沈みがちな自分の気持ちを明るいものにしてくれる。
物事をあるがままに受け止めて楽しむのが彼の信条で、異常な事態であるにも関わらず
国の貴族階級に属しながら放蕩を尽くし美味い食べ物と魅力的な女性を求めることにかける情熱
その飽くなき好奇心と探究心には素直に尊敬すら覚えた。

おかげで一向に事態が変わらない。困ったことだがまんざらでもない。
だが秘密裏に集まるという耽美的なサロンに忍び込んだとき全ては一変した。
一同の関心を一斉に集めたその女性が自分の知る男に似すぎていた。気のせいだと思いたい。
その優雅な立ち振る舞いでは判断できないが、あの口癖が古い記憶を呼び起こす。
貧しい村に生まれ育った自分とその村を捨て旅をするようになった夜のことを。

セナルスの冒険者達による城の探索は武人の活躍により大団円で幕を閉じ
その後ムタンの酒場で古よりセナルスに棲む竜族の話を聞き、町を南下した。
この土地は抜けてきた森と比べ命の息吹が感じられない。先ほど見かけた骨は山羊だろう。
いくらか原型を留めてはいたが、あれほど白骨化するにはひと夏は優に超えている。
彼方此方に散らばる骨。長い年月の間、この谷が抱いた数々の死を思い描いた。
折からの激しい雨と歩き続けた疲労、異国での邂逅で混乱しているが先を急がねばならない。

数々の未知なる現象に心躍らせ夢を抱き、知識の探求を続ける事が正しいと信じていた頃
死よりも悲しい別れがあることをまだ知らない自分に今なら何と言葉をかけるだろう。
静まり返った村、悲しみにくれた顔、忽然と姿を消した紫装束の男、庵に残された書きかけの本
あの男との出会いは偶然だったのかそれとも運命だったのか。
妹殺し・魂喰らいのレッドホークと呼ばれるようになったあの夜もこんな雨が降っていた。

この先に住むという竜族と会い、話しをすることができれば何かが変わるかもしれない。
皮肉な旅を続けていると思う。逃げていた自分の背中を今では逆に追いかけている。
新たな土地の生活と数多くの出会い。満ち足りた頃に訪れる過去の影。繰り返される喪失と後悔。
あの男を憎んではいない。恨んでもいない。むしろ分かり合えることもあるのではないか。
弱い心に向き合う意思と会い寄る魂に一縷の希望を抱いて。夜が明ければ新しい一日が始まる。
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Re: 【特番】レッドとクマー!!〜そこからこぼれたStory〜
投稿日 : 2007/07/26 18:36
投稿者 SKY@クマーの中の人 ID[0153]
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 | ̄ ̄ ヽ::::::     クマ板へはるばるようこそ
 |   ● |:::::
 |( _●_) ミ:::    餌と被り物はあるので初心クマも安心するクマ
 | |∪|  ノ::::
 | ヽノ  i::::

                        |
                        |
      ∩___∩              |  ぷらぷら
      | ノ       ヽ        ((  |
     /  ●   ● |         (=)
     |    ( _●_)  ミ          J  ))
    彡、   |∪|  ノ
      ~~~~~ヽノ~~~


∩─ー、    ====
 ● 、_ `ヽ   ======  では、ごいっしょ・・・ちょ、っちょっと待つクマ!
( ●  ● |つ
X_入__ノ   ミ      まだせりふは終わってないクマぁー―――――!!!!
 /   ノ /⌒l
__ノ゛_/  /  =====
      __ノ  ====
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___)     \   ======(´⌒        ズザザザザザザザザ
  \   ___ \__  (´⌒;;(´⌒;;
    \___)___)(´;;⌒  (´⌒;;
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Re: 【特番】レッドとクマー!!〜そこからこぼれたStory〜
投稿日 : 2007/07/25 00:49
投稿者 山下 ID[0175]
   _____________
   |                   /| ガチャ
   |  /⌒i             / |
   |-/`-イ────────-イ  |
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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   |__/⌒i__________/|
   | '`-イ   ./⌒ 三⌒\       |  レッドとクマーのネタを
   | ヽ ノ  /( ●)三(●)\    |           僕に聞かせて
   |  ,| /::::::⌒(__人__)⌒::::: \  |  袈裟固めでもいいから
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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Re: 【特番】レッドとクマー!!〜そこからこぼれたStory〜
投稿日 : 2007/07/15 02:48
投稿者 レッドホーク ID[0108]
【エデンシェイド私記外伝1】
羊皮紙に向かい筆を取るのも久しぶりのことだ。
インクの匂いを嗅いだ瞬間、記憶が一気に甦る。
今こうして再び書き記すことはその必要があると考えたからだ。

かつての土地を訪れ昔の仲間達と世界の変貌を見届けた後
セナルスへ帰ろうとした折、長雨での強行軍で体調を悪くしてしまった。
意識が朦朧として背中が熱い。峠の中腹にある温泉宿で逗留することにした。

それからというもの奇妙な出来事が起こった。
時折意識が無くなり気がついたときには何日も過ぎている。
どうしようもない不安を抱えながらセトラにたどり着いた。
かろうじて自分を保てる時間を使って記録を残しておくことにする。

事態がある程度飲み込めるようになるまで苦労した。
つまりは別の国で暮らす男の中に自分の意識が混在してしまっているらしい。
この地での意識が無い時は彼の感じたものを同じように感じることができる。
彼との会話もできるが互いに歴史が違えば文化も違い話が噛みあわない。
そのような状態になってしまった者がある出来事を境に異常発生しているという。
原因が不明であれば解決策も不明。セナルスのことを知るものは誰一人いなかった。

セトラには住人が増えた。バザーでは見知らぬ看板を多く見かける。
町を歩いていても気分が晴れない。あの城のことも気にかかる。
城の探索を呼びかける声に賛同したいが果たして自分が自分でいられるだろうか。
先のことを憂うよりも今この瞬間に出来ることを。夜が明ければ新しい一日が始まる。
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Re: 【特番】レッドとクマー!!〜そこからこぼれたStory〜
投稿日 : 2007/07/07 19:17
投稿者 レッドホーク ID[0108]
【そして俺たちだけになった】〜エデンシェイド私記番外編4〜
日光の暑さが弱く始めた昼下がりは谷を流すのに良い。両翼を広げ雲を突き抜け一気に昇った。
十分に上げた高度から翼を折りたたみ急降下。青から白へ、そして緑へと景色が目まぐるしく変わる。
以前、汝はどこから来たのかと尋ねた風変わりなヒトがいた。何故ヒトに脚があるのかと自問自答するのと同じ事だ。
問いを発した瞬間から答えは内にしか存在しない。思考の罠だ。短命のヒトにはそのことがわかるまい。
ヒトは外に答えを欲しがる。もし次に会う事があれば空から生まれたと答えてやろう。

急上昇旋回ときりもみを交互に繰り返し楽しんでいると低空でにわかに雨が降ってきた。
だがまだ明るい。谷底を流すには絶好の機会だ。翼をひねるように折り曲げ低速滑空に切り替える。
こんな時に喜んで谷を流すのはお前ぐらいだろうとあいつなら微笑むだろう。雨の翼を打つ心地良さもゆっくり飛んでこそだ。
その規則的とも思える雨音と静かな谷の移り変わる木々の色彩、風を切る翼音が頭の中で混ざり合って
脳から全身、そして奥深いところの何かが繋がり、湧き上がる感覚のうねりに全てが満たされる。

かつてヒトが音のなる箱を木で叩き、踊り騒いでいたのを思い出す。
雨を降らせるための行動らしいが、昔あいつが雨降りを選んで流していたのを笑ったものだ。
あいつはドラゴンとか竜とか呼ばれてヒトに崇められ畏怖されるのが心地良いらしい。
俺もヒトは嫌いではない。俺は他の輩と比べると頭がよくない。物事を好きか嫌いかで判断するからだ。
だから森を切り開いてちまちまとやっているヒトの営みは実に面白い。

翼も知識も持たぬヒトはその命の長さも考えずに時折奇妙な行動を根気強く続ける。
その意思には敬意を払おう。抜け落ちる鱗の1枚でもくれてやろうというものだ。
俺が思うにヒトが他の生き物よりも少しばかり抜きん出ているのは
住処を変えるたびに試行錯誤をしながら何かを作り上げる事を繰り返してきたからだろう。

ある時ひとつ処に留まって同族にオウと呼ばせ巨大な建物を作らせたヒトが現れた。
効率の良い仕組みを考えたものだとあいつは感心したが俺にはどうも癪に障る。
ヒトと物を一箇所に集め、なしえた事は今でも思うにロクでもないことだった。
知識を求めるものは好きだが知恵を持たぬものは嫌いだ。敬意を払わぬものはもっと嫌いだ。
ヒトのためだけにセナルスもこの大地もあるのではない。いつもヒトはその事を忘れ俺たちは面倒に巻き込まれる。
オウ無き今、ヒトはどんな営みをみせてくれるだろう。止まない雨はない、そして谷にはまだ光がある。
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Re: 【特番】レッドとクマー!!〜そこからこぼれたStory〜
投稿日 : 2007/07/07 19:14
投稿者 レッドホーク ID[0108]
【彼は遊んでくれたよ】〜エデンシェイド私記番外編3〜
魔物達が地図を持っているという噂を酒場で耳にした。
草木の生い茂る森、足場も危うい山岳地帯などで彼らと遭遇する。
それらしきものは見当たらない。運が悪いのだろうか。

大木の幹にもたれて腰を下ろすと異臭が漂う。目で追うと紙片を見つけた。
炭、煤などを使った人間のインクとは違い汚物のようなもので書き記されている。
手にするのも抵抗があったがこれが噂の地図ならば持ち歩くより他はない。
今にして思えば書き写しておけばよかったのだが逸る気持ちが平常心を失わせた。

臭いがきつい。近づけると目を痛めそうだ。方向感覚と記憶力の悪い自分を悔いた。
地図を片手に森を分け入りたどり着いたのは巨大な切り株だった。
根元には直線状に並べられた小石と不可思議な木片、樹皮。

辺りを見渡してもあるのは小さな沼。切り株に座り何とはなしにそれらを見つめた。
長短2本の小枝は草で十字に組みつけられ節のついた枝の先端には果実が一粒巻いてある。
大きく剥がされた樹皮の表面には果肉を練りこんでいる。
小石にも同様に果汁をなすりつけた後が見られた。これらはいったい・・・

さしたる収穫もなく町に戻ると酒場で冒険者達に地図の詳細を確かめる。
自分の見つけた紙片が地図ではなかったということが結論だった。
人間の習性を知る魔物が悪戯に真似てこしらえたものらしい。白紙の羊皮紙を落とした冒険者は誰だ。
ともあれ強烈な臭いを落とすのにはノルツで休む必要がありそうだ。
皆の迷惑にならなければ良いのだが。夜が明ければ香しい一日が始まる。
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