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【バレンタインSP】レッドホークVSちゅうじ!!
投稿日 | : 2008/01/23 04:09 |
投稿者 | : レッドホーク ID[0108] |
「冒険者日記」で連載中の拙著「エデンシェイド私記外伝」と
ちゅうじさんのブログ「宙印マテリアル」でしか読めない「加工屋日記」
2月のイベントに向けて静かな闘志を燃やす作者の二人が
共同製作でお届けするのはバレンタインデーにちなんだラブストーリー
「エデンシェイド日記外伝:ヘスペリデスの園」
かつて栄えた湖水地方で繰り広げられる物語は悲劇か喜劇か漫才か!?
どうぞ最後までごゆっくりお楽しみください
Re: 【バレンタインSP】レッドホークVSちゅうじ!!
投稿日 | : 2008/02/20 17:30 |
投稿者 | : ちゅうじ ID[0117] |
レスありがとです〜♪ ココアいただきまつw
企画自体は昨年末からあったんですよw でもまあ
年末の時点で決まってたのは「舞台は薄闇」ってのと
「誰かゲストを出す」「リレー形式」ぐらいかなぁ……
あ、あと「どうせなら戦闘やりたい」と言ったのは私ですw
身の程知らなさすぎでしたね、はいwww
レッドさんの私記の世界観にちゃっかりとお邪魔しつつ、
関西人としてNo 小ネタ,No LIFEの精神も忘れず(`・ω・)b
基本は勢い任せで突っ切らせていただきましたw
ブログのほうは勢い余って出てしまった産廃ですが(何
笑っていただけたなら何よりです。
さーて、次は何をネタにしましょうかねぇ?
レッドさんのほうはもう次回の構想があるとかないとか……(*-ω-)
おつかれさま^^♪
投稿日 | : 2008/02/19 21:50 |
投稿者 | : 瀬戸 ID[0215] |
企画完結お疲れ様でした〜♪ ~~■D\(^o^)ココアノム?
企画発表からあっという間にできあがっててビックリヾ(・ω・`o)
レッドさんサイドのあの話は結構前のエデンシェイド私記から引っ張ってたのかな? などと考えたり…^^
宙印マテリアルでのボツ原稿のほうも楽しませてもらいましたよっ(+・`ω・´)b !!
Re: 【バレンタインSP】レッドホークVSちゅうじ!!
投稿日 | : 2008/02/19 06:16 |
投稿者 | : ちゅうじ ID[0117] |
◆◇◆完結にあたって謝辞◆◇◆
バレンタイン当日にアップされたレッドホークさんの第7話、そして
先ほど冒険者日記のほうへ掲載いたしました第8話をもちまして、
バレンタイン特別コラボ企画
【エデンシェイド日記外伝・ヘスペリデスの園】は完結です。
それぞれに我の強い二人の合作でしたが、一ヶ月の長きにわたり
お付き合いいただきまして本当にありがとうございました。
レッドホークさんの「エデンシェイド私記」、
私の「加工屋日記」ともに、今後も不定期に続編が出ると思われます。
そのときには、またご一読いただけましたら幸いです。
掲示板、メッセなどで応援してくださった方々、
「煮るなり焼くなり好きにしろぃ」と言ってくださった忠兵衛さん、
企画立案および連日の編集会議におつきあいくださったレッドホークさん。
そして何よりも、セナルスの世界を作り上げてくださったAkyさんに
心より感謝申し上げます。
っと堅苦しい挨拶はここまでにして宣伝をばw
宙印のブログにて、今回の企画に連動した投票・没ネタなどをやってます。
くっだらない没ネタはともかく、本当の決戦である投票はぜひとも
皆さんの参加をお願いしたいと思い、URLを晒させていただきますw
【宙印マテリアル】 http://chumaterial.blog98.fc2.com/
カテゴリ「特別企画」に今回の関連記事をまとめていますので、
興味がある方はどうぞ。
また、第7話・第8話のログも近日中に掲示板へ移行しますので、
ご意見・感想など書き込んでいただけると嬉しいです♪
さらなる情報が出るかもですよ?
Re: 【バレンタインSP】レッドホークVSちゅうじ!!
投稿日 | : 2008/02/19 05:53 |
投稿者 | : ちゅうじ ID[0117] |
【エデンシェイド日記外伝Y】〜君の名は・3〜
鍵を、と彼が呻く。かすかな躊躇を押し殺して鍵を手渡すと、ようやく
動かせるようになった体を起こしてすぐにも立ち上がろうとする。足元が
ふらつくのを見て、忠兵衛さんが黙って肩を貸した。
少し離れたところに、ひっそりと目立たぬ木戸があった。その前まで歩を
進めると、彼はこちらに向き直り、僕たちの名前を呼んだ……それは紛れもなく
レッドホークさんの声。だが、続いて彼の口から発された言葉は、またしても
僕たちの不安をかき立てる。
ここから先はひとりで、と彼は言うのだった。立ち竦む忠兵衛さんから体を
遠ざけ、青銅色の鍵を木戸の錠へ差し込んで回す。乾いた音を立てて開いた扉から、
薄暗い回廊に意外なほどの外光が雪崩れこんできた。深手を負った体を引きずる
ようにして、光の向こうへ消えてしまいそうなその背中に、僕は抑えきれぬ
叫びを投げかけた。
「行くな! あんたは……あんたの名前はレッドホークだ! 他の誰でもない!!」
踏み出しかけた足を止めて、彼はゆっくりと振り向いた。大丈夫、とでも
言うようにその口元に平静な微笑みを乗せて。引き止めたいと願う僕たちの思いは
透徹した眼差しに断ち切られたまま、古びた扉が再び僕たちとレッドホークさんの
間を隔てる。
行き場を失った言葉を飲み込んで、僕たちはしばらく扉を見つめていたが、
やがて忠兵衛さんは大きな息をひとつ吐くと扉の前に座り込んだ。彼が戻ってくるまで
この場で待つつもりなのだろう、僕もそれに倣う。じっと扉を見据えたまま、
忠兵衛さんが呟いた。
「……パン食う?」
思わず頬が緩む。どこまで食うのかと。うっかり笑ってしまった僕に、ジャムは
もうないけど、と更なる追い打ち。
「まったく、神経細いんだか太いんだか。……さっきはごめん、ちょっと動転してて
キツいこと言っちまったわ」
「いや、俺も悪かったよ。乗りかかった船だもんな、ビビってる場合じゃねーや」
でも、と彼はまた扉のほうへ遠い目を向ける。
「ただ信じて待つってのも、難しいもんだよな」
喉につかえる固いパンをワインで流し込み、僕は単純なひとことを繰り返すしかない。
大丈夫。きっと大丈夫……。
Re: 【バレンタインSP】レッドホークVSちゅうじ!!
投稿日 | : 2008/02/19 05:52 |
投稿者 | : ちゅうじ ID[0117] |
【エデンシェイド日記外伝Y】〜君の名は・2〜
僕の中で何かがぷちんと音を立てた。
「……傷ついてる暇なんざねぇっつの、ヘタレが」
「ああ!?」
「テメェから探しに来といて今さらグダグダ言ってんじゃねっつの、
レッドホークさんと一緒に死んでやるぐらいの気合はねーのかよ」
「俺はなぁ、レッドさんなら魔道士相手でも何とかなると思って言ってんだよ。
気合で死ぬなバカ」
「バカは余計だ。あんたが行かないなら僕ひとりで行ってくる」
「ろくに肩動かねーくせにイキがってんじゃねーぞチビ」
「チビも余計だっ! そっちこそ図体でかいくせに神経細ぇんだよ、守りに
入ってんじゃねーぞ防具屋っ!」
捨て台詞を残して僕は駆け出した。足の速さでだけは負ける気がしない。
先ほどの雷鳴が聞こえた方向を、頭の中の地図と重ね合わせながら位置を
絞り込む。幾多の扉が並ぶ長い回廊のはるか奥に、雷撃で打ち崩されたらしい
真新しい瓦礫が目に入る。弓に矢を番えたそのとき、いきなり真横の扉が開き
……忠兵衛さんが現れた。
「なっ……何で追いつくんだよ!?」
「こんなこともあろうかと、私がひそかに開発しておいた……」
いや、ネタはいいから。目顔でその先を封じると、彼は得意満面で親指を
突き立てて笑った。
「空間転移装置の使い方はマスターしたぜ! 無駄に走って体力消耗したな、
加工屋!」
「そりゃあれだけ頻繁にトラップ発動させてれば覚えるわな」
冷ややかな表情を作ってはみたが、やはり心強い。とにかく先を急ごうと
顔を上げた瞬間、ふっと辺りの空気が変わった。
一帯を支配していた魔道士の気配が消えている。頭をよぎる悪い予感を
打ち消しつつ、瓦礫の傍まで辿りつく。雷撃によって大きく抉られた石柱の
陰に倒れ伏す人の姿……つい先刻まで彼と対峙していたのに、なぜか懐かしさが
はっきりと僕の心を占める。
駆け寄ってみれば、かろうじてまだ意識はあるようだ――その意識が誰の
ものなのかは今は問うまい。とにかく傷を治療しようとしたとき、彼の手に
何かが握られていることに気がついた。これは僕が廃墟の地下で見つけて、
捨てきれずに持っていたはずの紙片……? さっき彼と戦ったときに落としたのだろうか。
Re: 【バレンタインSP】レッドホークVSちゅうじ!!
投稿日 | : 2008/02/19 05:52 |
投稿者 | : ちゅうじ ID[0117] |
【エデンシェイド日記外伝Y】〜君の名は・1〜
回廊を抜け、やがてアーチ状の高い天井を持つ聖堂のような場所に辿りついた。
どうやら彼が追ってきていないことを確認すると、冷たい大理石の床にへたり込む。
しばし無言。ややあって、忠兵衛さんが入り口のほうへ間断なく目を凝らしながら
口を開いた。
「傷はどうだ?」
「……とりあえず、急所は外れてる……つうか、外してくれたのかもな。あーでも、
鎖骨がちょっとヤバそうだ……」
腕が痺れる。右肩全体に重く熱が澱む。身につけていた胴衣も、最後のマジック
ボイドでもはや防具の役目を果たしていない。まずは装備を整えなおしてから
考えよう。今の状況と、これから僕たちがやるべきことを。
「レッドさんがその鍵に執着してることだけはわかったんだけど、な……」
その先を言いよどみ、取り繕うように荷物袋をがさがさやるとパンを取り出した。
この期に及んでまだ食うか。しかもジャム塗るか。
「いいからお前も食っとけ。……このまま帰れないだろ?」
差し出されたジャムパンを黙って受け取る。彼の言うとおり、レッドホークさんに
どんな理由があるのか――そしてあれが本当に僕たちの知っているレッドホークさん
なのかも――皆目わからないが、あの様子を見てしまっては放って帰る気には
なれない。パンとワインで簡便な休息をすませ、傷の手当てをする。予備の防具を
身につけておおかたの身支度を終え、残りの矢の数を確認して弓を取る。
「つい持って逃げちゃったけど、やっぱりこの鍵……」
言いかけたとき、唐突に足下が崩れるような目眩を感じた。忠兵衛さんも
同じものを察知したらしく顔を見合わせる。どこかそう遠くないところで、空間が
歪むほどの強大な魔力が発現した……? 次の瞬間、城全体に天も慄くような
轟音が鳴り響く。この雷鳴はもしや、噂に名高い暗黒魔道士!? 慌てて走り
出そうとする僕の腕を忠兵衛さんが引きとめた。その手を振りほどいて抗う声が
思わず荒くなる。
「何すんだよ! レッドホークさんが戦ってるのかも知んねーだろ!」
「俺たちが行ってどうなる? こっちは体も装備もガタが来てるし、相手は
不死身の魔道士だぜ。それに、さっきのあの人の目……いつものレッドさんじゃ
ねぇよ」
その顔に浮かぶのは、魔道士に対する怯えだけではなかった。彼は彼なりに
傷ついているのだ、レッドホークさんから刃を向けられたことにも、自ら刃を
向けたことにも。そしてその原因となったのはこの鍵で、この鍵を見つけて
しまったのは僕だ、けれど。
Re: 【バレンタインSP】レッドホークVSちゅうじ!!
投稿日 | : 2008/02/15 02:28 |
投稿者 | : レッドホーク ID[0108] |
待てども待てども帰って来ないレッドホークに業を煮やした忠兵衛さんとちゅうじさん。
我慢の限界に怒髪天を突き、斧を振り上げ扉を壊し彼の行方を追いかける。
二人で過ごした夜はどうよ?腹の具合は大丈夫か!失敗作はお持ち帰り!?
次回、エデンシェイド日記外伝最終話!!その時冒険者達は同じ空を見つめていた・・・
Re: 【バレンタインSP】レッドホークVSちゅうじ!!
投稿日 | : 2008/02/15 00:50 |
投稿者 | : レッドホーク ID[0108] |
【エデンシェイド日記外伝X】〜邂逅 ・2〜
そっと目蓋に手の平を当てる。少しこのままでいさせてくれないかと彼が呟いた。
それが二人で過ごした最後の時間。彼は理由も告げずに旅へ出た。
夏の暑い日。やけに暑苦しかった手の感触を今でも覚えている。それから10年。
彼に起こった出来事は今でも分からない。だけど今も彼が苦しんでいるなら私は・・・
記憶を呼び起こそうとする程に思う場所への道は開けていく。もうすぐ庭に辿り着くかもしれない。
鍵は奪われてしまったけれど、寝室で見つけたこの手紙を信じるならば扉は開いているかもしれない。
いつも庭を開けるのは彼で閉めるのが私だった。城を離れたときも私が鍵を閉めた。
くたびれた紫紺のローブをまとった男が小さな皮袋を手に持って門の前に立っている。
その皮袋には小鳥の餌が入っているはず。庭の中央の座り心地のよくない岩に腰掛けるはず。
自分の心臓の鼓動が聞こえてくる。足が震えて踏み出せない。
大丈夫、大丈夫だから。自分に言い聞かせながら男に歩み寄る。
男が先に声を上げた。触れること能わず。魔道書でしか知ることの出来ない古代語。
突然のことで言葉が出なかった。男はあれから全く歳をとっていない。むしろ若々しく見える。
その名を呼ぼうとさらに近づくと男はうずくまり詠唱を始めた。
「慈愛の祈りは聖、憎悪の祈りは邪、希望の祈りは瘡。
天に願うは弱者、地に踊るは道化、狭間に眠るは傀儡。
己の逝く道を知るべきは愚かなり。汝、思うがままを為せ。
欲望だけが汝を救い給う。我は古よりの力。我の名は・・・」
その手から皮袋が落ちた。詠唱が繰り返されるうち男は苦しむように身体をよじる。
今度こそと思ったとき、目の前の男が彼であるとはもう考えられなかった。
男の瞳は爬虫類のように垂直に開かれ、口は耳元まで裂けて中から牙がのぞく。
頬には深い皺が刻まれてひび割れ、まるで鱗のように浮かび上がっていた。
男が紫金の杖に施された装飾から金色の球体を外して放り上げると頭上に暗雲が立ち込める。
轟音と共に稲光が襲い掛かる。とっさに垣間見た姿に愛することを教えてくれた彼の面影はない。
夜が明けても悪夢の一日は終わらない。
Re: 【バレンタインSP】レッドホークVSちゅうじ!!
投稿日 | : 2008/02/15 00:48 |
投稿者 | : レッドホーク ID[0108] |
【エデンシェイド日記外伝X】〜邂逅 ・1〜
調度品を片付けながら寝室を眺めた。ふと思い出す。
幼い頃は勝負になると男の子を負かしてばかりいた。もともと負けず嫌いだった。
そして年が経つにつれ悔しそうにしていた彼らの眼は軽蔑へと変わっていった。
周りの人々からも争いごとをする度、女の子らしく振舞うようにとたしなめられた。
女の子らしくなんてわからなかったけど、いけないことをしてるようで気分は落ち込んだ。
時折町で見かける風変わりな人達から世界の不思議な話を聞いていると晴れやかな気持ちになれた。
この人達となら私は私でいられるはず。だから同じ魔道士になろうと決めた。
魔道を志す仲間達と城で過ごした日々。偏見を持たず自由な心でいられることの喜び。
人に教えることは希望を伝えること。知識を学ぶことは正しい心を知ること。
毎日が今日の充足と明日への希望にあふれ、次第に私なりの目標も見つかりそうになった時。
私は世界の半分を失った。
徐々に光を失っていく眼に自然と塞ぎこみ、気がつくと一人でいることが多くなった。
いつまでも悲しい境遇に浸っているだけでは仕方が無いことを頭ではわかっていているつもりだった。
本当に苦しいならそれを乗り越える努力をしなくてはならないと・・・
人気の無いあの庭を見つけたのはそんな頃だった。皆が苦労無くできることをこっそり練習した。
なぜ私だけがと運命を恨んだこともあった。悔しさに泣いたこともあった。
サルタスに見つかってしまった時は恥ずかしさでこの世から消えてしまいたくなった。
この庭は君の秘密の場所だったんだねと微笑んで立ち去ろうとする。
餌付けされた小鳥達、無造作に見えて手入れされた草花。サルタスはずっと前からここにいた。
誰もが弱い者をいたわるように接するなかでサルタスだけは遠くから見守ってくれた。
初めて私は愛されているという驚きを知った。ただ愛されることが自分にとってどれほど価値のあるものかに気づいた。
Re: 【バレンタインSP】レッドホークVSちゅうじ!!
投稿日 | : 2008/02/09 04:58 |
投稿者 | : ちゅうじ ID[0117] |
■次回予告■
変わり果てた愛はすべてを絶望へと導く。
古錆びた鍵でひらかれるのは最後の約束か、深遠の闇か。
失われた時間だけが降り積もる光の庭に、
名もなく立ち尽くすその魂が選び取る姿は……
次回、エデンシェイド日記外伝Z。
夜は明ける。そして人は、還るべき場所へと辿りつく。